linkプロフィール心象スケッチフォトダイアリー政策三村申吾の姿勢ホーム
VOL.12 [2005.4.22]
今週の4冊

 チャリ季節になった。
 半自炊をしているから、時にまとめて食料の買出しが必要となる。公務の無い嬉しい日曜の夕暮れ時なれば、春風に乗って(案外寒かった)本屋さんも覗ける、かつ地産地消のご協力をいただいている某スーパーの方でも行って見ようと自転車を漕いだ。
 八甲田大橋下通路を初めて通った。生活関連公共事業としては、とてもよい着眼であるけれど、出口の車の多さに要注意というところか。
 まず本屋さんにゆき、ブラブラあれこれ話題の新刊を手に取って、編集者時代の名残りで造本・装丁や活字の具合や紙まで見較べる。
 しかし今回買ったのは文庫を4冊。ところで本にあとで買おうは、ない。あとでと思うと在庫が無くなったり、あとでを忘れてしまうことが大半だ。
 だから、今、読まずとも買うということが大切だ。積んで置くのも読書のうちだと自分は思う。ちなみに今週の4冊は、

池澤夏樹さんの『カイマナヒラの家』。池澤さんは純文学系そのものの芥川賞作家だが、自分は新潮で出された『ハワイイ紀行』を読んで以来、紀行文がすごいと思っている。担当するかい、と云われたら、はいとすぐに答えるひとりだ。

伊集院静+西原理恵子シリーズの一冊、『それがどうした』。書ける+描ける2人の絶妙なコンビネーションが面白い。
 ギャンブルに負けた人々のために色紙を頼まれて伊集院センセがしたためたのが、「それがどうした」の語句とのことでタイトルにもなった。
 自分もいつかどこかで、こういう名セリフを思いっ切りぶん回してみたいものだ。

あまりの懐かしさに、もう、これこそ今、買わずんば手に入るべからずの一冊。中沢けいさんの『海を感じるとき』。是非今度“姉御”にサインしてもらおうと思う。中沢さん17才、衝撃のデビュー作だ。
 中沢さんは何といっても自分の担当作家であり、今も変わらぬお付き合いをいただいている。いやはや懐かしきかな。当時「読んだ」つもりでいても今、幾年月を経て読み直したら更に新鮮な感動があるだろう。きっちりがっちり読んで、ファンレターを出そうと買い求めた。

女優黒木瞳さんの『わたしが泣くとき』。
 あの見城徹氏が見込んだということで元々気になっていた一冊。ポツンと書棚にあった背表紙が“読んで読んで”と呼びかけて来た。
(「あの」とは、角川書店のスーパー編集者として、業界bPの評価を得ていたが、数々の大作家の応援を受けて独立し幻冬舎を立ち上げたという意味です。)
 これには驚きました。読ませる読ませる。曳き込まれるように、一気に2時間で休む間もなく読了した。恐れ入りました。この文才を引き出した見城社長の眼力にも脱帽。ファンレター何通でも出しますから、社長、もっともっと書かせてください。早速、『夫の浮わ気』も読もうと思う。

 本屋さんのあとは、いよいよ食料の買出し。自転車のかご、あふれるばかりに買い付けて、西風に負けずにペダルを漕いで帰った。


三村 申吾

Copyright(C) 2006 Shingo Mimura. All Rights Reserved.