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VOL.20 [2006.2.2]
雪ナビプロジェクト

 青森市の柳町商店街で、いよいよ雪ナビプロジェクトが始まった。

 
簡単に云えば、電子タグを歩道や軒先に埋め込んだり、道の脇に情報ボックスを置いて、ナビゲーション情報や観光、お店情報などを電波発信し、誰でもが(視覚障害の方も)誘導を受けて街の中を歩き、街を楽しむというシステムが、我らが青森の寒さと大雪の中でうまく働くかどうかの実証実験である。
 国交省や総務省、県、IT機器メーカー等が、がっちり連携して、坂村健先生が提唱するユビキタス社会を、まずは商店街で試そうというのである。
 2月下旬まで実験は続けて行われている。新しい時代と最先端テクノロジーに触れることができるので、というより面白いので是非ご覧下さればと思う。

 
ちなみに坂村先生は、NHKの『プロジェクトX』でも取り上げられたトロンの開発者である。トロンは現在、多くの家電製品やケイタイ等を動かす、コンピューターのいわば言語であるが、技術情報は全て公開にするという先生の考えに、米国が強い異を唱え、世界標準たりえなかった歴史はTVでご存知だと思う。
 その後あのビル・ゲイツが(米政府の押しで?)ウィンドウズで世界を席巻し、個人的に利益を独占したこともご存知であろう。
 なお坂村先生の今回のユビキタスの実証実験の技術情報は、全て世界に公開されることになっている。
 「人類のためになる技術は万人に公開されるべきだ」と先生はいつも話される。その世界最初の積雪寒冷地での実証が、本県で行われることに自分は大きな誇りを覚える。

 
さて話は変わるが、例えばリナックスというオープンソースがあるが、OSの世界ほど今や注目される分野はない。
 OSは国境も、人種も、年齢も超えて、インターネット上を行き交い、世界中のチャレンジ精神あふれる人々がそれぞれに改良を加えることで、人類社会にとってよりよきソフトへと改良され続けて行く。
 さまざまな国の優れたチャレンジャーたちが、ビル・ゲイツ流の経済行為としてのソフト改良ではなくて、無償でただ自らの知の可能性を極めるためにOS作りに参加しているところに、自分は感慨を覚える。
 決してビル・ゲイツ流の金儲けを否定しているのではない。技術を開発して財を得ることもまた正しい道だ。
 しかし、世界中に坂村先生のように「知」は互いに切磋琢磨の上、共有されるべきと考える人たちが沢山いて、そういった人たちの無償の献身と努力とが、おそらく人間社会全体を幸福にする新しい技術の時代を作ってゆくことに深く感じ入るのである。

 
坂村先生を始めとして、理想に生き、知の新世界を拓くことに誇りを持つ人たちの生き方に対して、心から尊敬のエールを贈ると共に、少なくとも雪ナビというユビキタス分野で、県もいい仕事をしたいと強く決意している。

三村 申吾

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