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VOL.34 [2007.12.27]
マツリダゴッホ

“わだばゴッホになる”と云ったのは、棟方志功だけれど、暮れの「有馬記念」を制したのは、マツリダゴッホだった。
中山競馬場に行っていた友人たちは、レース後に放心状態になったと聞いた。
 文芸評論家にして、日本唯一の競馬風俗評論家の畏友、立川末広氏がよく云うことに「予想はうそよ」がある。
 氏曰く、「三村さんさァ、予想なんてさァ、うしろから読んでみてよ、“ウソヨ”ってわけよ。馬だけじゃなくて、小説も何事も自分の感性を信じるしかないってわけよ」
 たまたま旅先のTVで「有馬」を見ていて、この言葉を思い出した。評論家の予想が軒並み大外れの中で、単勝50倍程度におさまって、ちゃんと適中する人たちがいるところが、世の中の感性は面白い。
 さて、『ぜんぶ馬の話』は、木下順二さんの最高奇作(傑作は『夕鶴』)だが、新潮社の出版部を辞めて青森に戻ってからも、地元の面白い「馬」の資料をお送りすると、本当に喜んでいただいた。馬に関わる万般を心から興味とし、またお好きでいらした。
 我がふるさとは「馬事」には、こと欠かない。歴史も長い。源平の生?(いけずき)、磨墨(するすみ)以前から、名馬の産地として名高い。
 明治以降の軍馬の歴史においても、競走馬の生産史においても、この国をリードして来た。
 しかし、軍馬の時代は去り、サラブレッドの生産は北海道が主力となり、トサミドリもフェアーウィンもカブトシローもグリーングラスも知る人は稀となった。
 その代わり、数々の名馬を育んでいた大地は今、日本一良質の長芋やにんにくやゴボウや黒毛和牛を着実に生産している。
 「時移り、馬去り、人変わるとも、この大地のある限り!!」と我が天地(あめつち)の深い底力に自分は感慨を覚える。
 私たちのふるさとには、常に先見性にあふれ、実務に長け、こつこつ生まじめに物事にとり組む“人財”がいて、ここで生きられる、いわばその時代の新分野を、歯を食いしばって、創出しつづけて来た。
 「プロジェクトX」な“人財”の青森を自分は誇りに思う。
 しかして、我が青森にあって、夢と志を高く、サラブレッド生産にダービー馬づくりにチャレンジし続けている人たちがまだまだいる。
 しかも今年から、本県馬産界待望の米準三冠馬シルバーチャームが、我が七戸種馬場で供用される。
 わだばゴッホになる馬づくりのビッグチャンス、ビッグチャレンジだ!!
 四年後のダービーや有馬記念では、「勝つのは、青森県産馬!!」と知事は今、予想する。
 でも、知事の“予想はうそよ”と云われないように、本県サラブレッド生産者の皆さん、宜しくお願いします。

三村 申吾

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