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VOL.37 [2008.1.9]
読んだ。泣いた。笑った。

 この正月は、まとめて読書した ――――
 『強く風が吹いている』(三浦しをん)、『鹿男あをによし』(万城目学)、『有頂天家族』(森見登美彦)と三冊を一気に読んだ。
 「ああ、これぞ小説だね」と唸った。
 久々に「読ませてもらった」との思いに痺れた。
 三浦さんは、気鋭の物書きとしてすでに高い評価を聞いているが、大学駅伝をテーマとしたこの作品のさわやかさと熱気に感じ入って、箱根駅伝のTV中継をつい、2日、3日と往復見てしまった。来年は、花の2区でも見に行けないかなと思ったくらいだ。
 そして今、万城目、森見両氏を輩出した京都大学と京都の街のさすがの底力に敬意をいだいている。
 それぞれの前作『鴨川ホルモー』『夜は短し 歩けよ乙女』を読んだ時に、
 “こんなに書ける若手が出てきた、期待するところ大だね。早く次を読みたい、わくわくするね”と次作を待っていた甲斐があったと思っている。
 本好きとしては、今回の作品に手を合わせて、ありがとうと感謝したい。
 どちらも心から泣ける、心から笑える、読んだあとにさっぱりとした気分になって、さあ、また明日から、一歩一歩生きようというエネルギーを与えてくれる作品だ。
 読書については、立川末広氏曰くの自分の「感性」という感覚を大切にしたい。評論家や書評子の愛でる本こそ価値があるのではなく、自分で買って(借りてもよい)、読んで、「よかった」と感じられたら、いい本なのだと思う。
 昨年、自分が手に取った本の宣伝用の帯コピーNO.1は

     「あっ、好きになってる」
     と思ったとたん、世界は変わる

である。内田春菊さんの『気がつけば、彼を見ている』の帯コピーだが、相当腕のいい編集者と拝察する。
 このコピーのように、一冊の本あるいはひとりの物書きとの出会いは、恋そのもので、自分に一番いい本や作家と恋をするのが、読書世界の醍醐味だと思う。
 恋しい若手三作家のピュアな感性の作品を、もっともっと読みたい。

追記  この文を出稿後に入手した『仏果を得ず』(三浦しをん)を一夜で一気に読んでしまった。いいね、何でこんなに書けるのだろう。久々に文楽にも行きたくなった
三村 申吾

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