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VOL.44 [2008.2.4]
雪見はキリリの“だく”がいい
 皆様ご苦労しておいでと思うし、昨年は楽だったなという実感が自分にもあるし、道路特定財源が危うい中で、百数十億の除雪費用をどうしたものかに気分は重いとしても、
 「雪は美しい」
 この青森という街には、沢山降り積もった雪や、さわさわと天も地も純白に変えてなお降り続ける雪が、切ないほど良く似合う。
 撒き散らした程度の雪の時よりも、1mを超えようかと勢いをつけて降る雪の方が美しい。
 雪の壁が歩道にも出来るようになると、毎日の暮らしにも交通にも頗る不便ではあるけれど、この街は大雪の中にあってこそ美しい街だと思う。
 古(いにしえ)の善知鳥村に発して、明治に県庁が置かれ、世代を重ねて人口も増え、人はこの街に住み続けて来た。
 雪の晴れ間が来ると、申し合わせたようにそれぞれがスコップやスノーダンプを手に、融雪溝の蓋を上げて、雪掻きにいそしみ励む姿を拝見する時、大雪を相手にすることは、実に大変なことだと感じる。
 しかしながらそれでも、これでもかこれでもかと純白の圧倒的な質量感に囲まれたこの街の容姿が、ストイックなのにあでなイングリッド・バーグマン(映画「カサブランカ」の女優)の如きいい女に感じられて仕方がない。
 実は雪が多くなってから、街の姿かたちがどう変貌したかを見たくて、朝な夕な(日中はお仕事です)ふらふら防寒長靴に、頭からすっぽりのダウンでタウンウォッチングをしている。
 そのせいか、雪の精どころか、あの怖―く冷たく息を吹きかける“雪女”にでも魅入られたかなと思うばかりの、雪の街へのトキメキが自分にはある。
 夜目遠目笠の内ならぬ夜目遠目雪の中だ。
 こんな思いのある日、深浦で農家民宿・レストランにあわせて特区許可となった“だく”(つまりはどぶろく)をいただいた。
 カチンカチンに凍った“だく”がゆるやかに溶けてゆくにまかせて、降る雪を見ながら飲んだら、とても美味しかった。
 発酵が進み生きている濁り酒って、雪見の極楽の味だと認識した。
 ♪お酒はぬるめの燗がいい〜 を
 ♪雪見はキリリの“だく”がいい〜 と
 唱いかえて、雪・雪・雪の青森の街に恋ほのかである。
三村 申吾

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