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VOL.47 [2008.2.12]
摩耶の桜
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満開の桜の夢を見た。
坂の道の両側いっぱいに桜、桜、桜。美しい。なんて美しい。
ここは、どこだろう。坂の下に神戸の街が広がっている。ああ、摩耶かと思ったところで、目が覚めた。
『これだけは見ておきたい桜』というムック本が新潮社からかつて出ていて、恩師久保田淳先生の文章がまたいいのだけれど、これを参考書として桜を訪ねた日々があった。
しかし、摩耶山の麓の桜は、実際には見ていない。ムック本にも載っているものではない。たまたま、葉桜がびっしり綺麗な五月に路線バスで通り過ぎただけだった。それも震災前だから、随分になる。
“わぁー、咲いた時に見たいな。すごいな。いい街並みだなあ。桜並木が街の誇りなんだろうなあ。とっても大切にされているんだなあ。”
そう思ったことを今でも忘れていない。
ちなみに路線バスツアーとタウンウォッチングを組み合わせて、街歩きをするのが、自分の大切な趣味である。
さて、新年度予算もやっと組み終わった。しかし、例の道路特定財源がぶっとぶと、600億円の県経済への影響と4800人の雇用減が予想される。
これには国の直轄分が入っていないので、実際の落ち込みはこれ以上となるわけで、本県経済の失速が懸念される。
自分たちの努力の及ばない要因でのこととなれば、術もなく気も重い。
平成16年の地財ショック、つまり県・市町村への地方交付税が、ある日マイナス12%となり(県では約250億円の減収)、今日まで続いている。そのショック以来の地方経済の冷え込みを思う時、道路特財マイナスの影響は計り知れない。
町長職から政治に入った自分には、これまでのいろんな場面での、いわば東京の人たちによる東京のための感覚での政策決定が、この国の格差をどんどん広げているとしか思えて仕方ない。
テレビも新聞も東京が中心。つまりは東京感覚の産物だし、従って東京感性で発想し発言されることが、主流の意見となってゆく。
しかして、その道路特定財源問題は、3月31日、桜の開花前後には結論が出るわけだ。
桜の花の夢を見るなんて、疲れているのかなあと、ふと思う。しかも、見たい見たいと念願し続けて来た、摩耶の桜だ。
“よっしゃ”と決意を胸に、早めに段取りしてもらわないと予定で埋まってしまうので、尋ねた。
「Yさん、4月の第一土日休めるかな。ちょっと出かけたいところがあるんだけど・・・」
「あ、聞いていませんか。多分ダメですよ。大統領の指示かどうかわかりませんけど、○○○○首相が来るらしいですよ。」
とにこにこっと、牡丹か芍薬のように大きくチャーミングな笑顔で、しかし厳しくさらりと云い含めるように宣告された。
おのれ、××××大統領め、おぬしのみがピラミッドを見おって、わしに桜を見せんのか!! |
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三村 申吾
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