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VOL.52 [2008.2.28]
咲いた咲いた
 青森人は花が好きらしい。
 『ピカイチデータ』によると、全国で2番目に花を買っている。
※ ピカイチデータ

 青森県の全国順位5位以内のデータがまとめられている。
 2007年では、りんご・ごぼう・ながいも・にんにくの収穫量が1位なのはもちろんのこと、バナナ・もやし・たらこの購入金額(1世帯当たり、県庁所在市)1位、早寝・早起き1位、公衆浴場数(人口10万人当たり)1位等がある。
 http://www.pref.aomori.lg.jp/tokei/lib/pikaichi/pikaichi.html


 なるほど、自分も差し上げることも、頂くことも多いし、宿舎で飾るために自分で買うことがよくある。
 特に長い冬の時期には、外は雪の白でいっぱいだから、せめて部屋の中に色彩が欲しい。
 いつぞや述べたミニ豚は飼えずとも、花なら買えるし、家人からの苦情がないどころか、お誉めをいただける。
 「あら、花のひとつもあると、こんな雑然とした部屋でも、とってもいいアクセントになって、ちゃんと暮らしているみたいで安心できるわよ」
 と掃除をしてない事が免ぜられる。
 花屋さんは、「あら、今日はどこの彼女に持って行くの」と冷やかすけれど、もっと恥ずかしくもマイルーム用なんですよね、実は。
 しかして、自分用は生け花にするわけでも花瓶にアレンジするわけでもないから、もっぱら単品で、3本何百円かのフリージア2束とか、ガーベラ3束とか求める。
 花世界はもうすっかり春バージョン化していて、お店は春の花で満ちている。その中でも一等に好きなのがチューリップだ。
 10本ぐらい買って来て、ストンと花瓶に入れると、春、春、Spring has come!
 昔は“♪並んだ並んだ赤白黄色〜”と唄にあるように、単色だったような気がするが、昨今は花弁の姿・形も含めて色合いも千差万別になっている。
 この頃のお気に入りは、茎に近いところが白くて、先の方が淡く品よい桃色のチューリップ。
 さて、このチューリップという花は、温度にすごく敏感なのか、帰宅した時は花弁を閉じているのに、ストーブをつけて室内が暖まると微笑みがこぼれるみたいに、ふわっと開く。
 “うれしいな、待っててくれたのかい”って思いになっちゃうよね。
 しかして家人曰く
 「チューリップの好きな人って、鼻の下が長いって云われるのよ」
 「なんで」
 「花弁の下に何もなくって、葉っぱのところまで随分長いから“花の下が長い”ってことよ」
 との解説だったけれど、本当だろうか。

 チューリップで思い出すのは、自分はむしろ17世紀のオランダでのチューリップバブル。
 花が愛でられるところか、オストマン・トルコからの球根を中心とした投機対象となり、競い合ってチューリップに投資する大バブル事件があった。
 金(きん)でも土地でも建物でも絵画ですらなく、チューリップというところが、すこぶるバブルっぽい。
 それにしても我が日本の80年代バブルは「不動産」が主役だったが、「チューリップという花」に投資するバブルの感覚は、本当に不思議でわからない。
 人間と時代が“バブル”時の感性って、“小説よりも奇なり”としみじみ思うしかない。
 そんな時代があったとしても、オランダと云えば、チューリップの国というイメージが残ったわけだし、チューリップそのものの可愛らしさに何のかわりもなくて、自分とすれば大好きな花だ。
 天山山脈でこれを発見し、品種改良し続けたオスマン・トルコの皇帝たちに心から感謝を献じたい。
 それはともかく、“本日も行って来ます”とチューリップに声をかけ、照明と暖房を切ったのだった。
三村 申吾

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