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VOL.58 [2008.3.13]
「起承転結」

 久々に公私とも何の予定もない日曜の朝に限って、パチッと目が覚めた。
 焼き魚が食べたいと思った。銀タラの脂のりのりジューシーな、少し焦げた切り身が目に浮かんだ。
 いつもの電子レンジちん飯でなく、炊きたて熱々のご飯にさらに熱々のお味噌汁!!
 しかも、小盛りごはんでは、銀ちゃん(鱈)にすまない。焼き魚は、大飯喰いに限る。止めてくれるなカロリー殿、メタボが何じゃい、清く正しい朝ごはんこそ、日本の宝。サイドメニューはやめて、昼を、りんご・バナナ・ミルク・ヨーグルトにすれば良いのだ。
 そう決意するが直ちにひげもあたらず、某食堂の7時オープンを目指して、アウガ地下へ向かった。
 もちろん雪が降ってるし、氷の道のチャリはだめだから、歩け歩け歩け。
 しかし、ひもじさもあるにしても、ダウン羽織っているものの、暦は春なのにこんなに寒いとは。暮れが暖かだった分、ちゃんとバランスをとっているだろうか。

 そして。ああ、至福幸せの朝餉。
 食った食ったひたすらに食った。十二分に、日本の青森県の朝を銀ちゃんと共に満足した。
 ポッポッポッと暖まって、汗をかいた。
 しかして、地上に上がれば、春三月は名のみの風の寒さや、♪ひゅ〜るり〜ひゅ〜るり〜らら〜。
 だめだ。汗の分、冷える〜、凍える〜。いかん、新聞を買ったら朝 風呂 にしよう。
 たらポッキ温泉は遠い。豪勢にフレッシュローズバブだ(単に入浴剤だが)。
 日曜の朝から 風呂 。マリーアントワネットにも、日本の大発明バブの薔薇湯を献上したかったね。
 このように思いは 風呂 も、足元は氷。向かい風に凍りつき、震えながら駅へ。
 “早く東スポ買って帰ろ”
 日曜の朝は迷わず東京スポーツ。清水成駿のコラムに120円払っている。
 元編集者の自分は、書き手の出自にも媒体にもこだわらない。(天下の全国紙だろうが、東スポだろうが、味わい面白く読ませてくれて、その文章の発するものに“うーん”とうなれれば全て良し)
 それに、日曜の朝から、悲観論渦巻く陰々滅々紙面ワールドを見てどうするの。
 日曜日ぐらい挑戦的、冒険的文章にわくわくしてこそ元気もつくというものだ。
 本日だって、 風呂 の沸く間に、まるで自分を諭すような成駿先生の文に触れ、うなりまくった。
 受験生諸君のためにも、まだ後期日程小論文があるからこそ、すっかり引用しよう  ――

「大阪本町糸屋の娘、姉は十六、妹十四。諸国の大名弓矢で殺し、糸屋の娘は目で殺す。
江戸後期の歴史家、頼山陽が文章はこう書きなさいと『起承転結』を説いた例文であるという。文章に限らず、世の中で一番難しいのは『諸国の大名弓矢で殺し』という3番目の転。まさに転機の『転』であり、ここがダメだと文章なら死に、家や会社なら潰れる・・・・・・」

  “死に、潰れる”とは、すごい書きぶりではあるが、納得できる気もする。
 ややもすれば自分自身、「起承結」に陥りがちではないかと、自省するところしきりで、マツキヨ特売で仕込んだ“(薔薇の)泡のお風呂はワンダフル”の中で考え込んで長湯した。
 しかして、今日日(きょうび)の風潮は「起承結」どころか「起、(即)結」にはしっているのではなかろうか。
 物事に対して、「起」したらすぐ「結」を慌てて求めるように思えることが多々ある。
 TVみたいにすぐにすぐに画面が変わってゆくことを求め、「1、0」(イチ、ゼロ)「1、0」と2進法的思考が渦巻いているように感じられてしょうがない。
 「成果」を「結果」をと焦る、せかす。
 自分もそうだが、子供についつい云ってしまう「急いで」「急ぎなさい」の状況に、皆はまり込んで、辛抱こらえ性が足りなくなって来ているように感じられて仕方がない。
 「起」コツコツと積み重ねて、「承」その努力、努力をさらに積み重ね続けた時に、「転」大イノベーションが来て、「結」ぐいっと世の中が進むっていう事の方が、自分は好ましいのではないかと思っているが、いかがなものか。
 まあしかし、思慮の浅い世の中になって来たもんだなと、おじさん嘆きをしつつ、清水成駿よ来週も切れ味いいコラム頼むぜとお湯の中で思った。
 (それにしても、成駿先生、本業の方は見事にずうーっと外しているようですが、私はそれでもあなたの大ファンです。あなたの思いっきりの良さに嘘がないからです)
三村 申吾

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