大名古屋という言葉が、地元では使われることがあるようだ。
“大”に込められた大きな自信と誇りその通りに、名古屋(中京)圏域はとても元気だ。
自分もやはり、その活況を呈する名古屋圏域に出向く事が増えている。
もちろん、北三県合同事務所があり、りんご等の市場と流通関係者へのトップセールスや県人会、元気あおもり応援隊の方々への対応や勉強会がある。
また、いつも青森をPRして下さるメディア幹部や医師確保応援チームとの懇談があり、圏域企業の方々に集まっていただいての産業立地フェアや青森の技術フェアがある。
しかしこのところは、個別の企業訪問等の機会が増えた。
加えてこの正月には、企業誘致専門の青森県名古屋産業立地センターを設置し、いよいよ4月からはトヨタを始めとして、3社に県職員を派遣して、新しい時代の新しいものづくりや、新しい生産や管理システムの在り方についても研修することになっている。
「選択と集中」の「集中」を思い切って中京圏に仕掛けたわけだ。
この名古屋の変貌と元気は、どこよりも駅前に溢れている。
20年余前、名古屋には原稿取りに週1回ペースで夕方出かけて、最終「ひかり」で帰京するパターンで通っていた。
新幹線を降り立つ名駅(と地元では略すようだ)前には、森永のエンゼル君の広告塔が目立つだけで、我が下田駅とは云わないまでも、地下鉄があるだけで青森駅前とそう違わぬ感覚であった。
もともと名古屋は、名駅の周辺も最も賑やかな栄(さかえ)一帯も地下街が大変に発達している街だから、地上に“おったって”目立つものは“♪空をあおげばテレビ塔〜”と唱われたテレビ塔ぐらいであった。
※ “おったってる”の表現は、地元の古い友人のさいちゃんの真似だが、大平野に、ボコッと天に向かって建物が伸びている状況表現として秀逸と思い、使わせていただくことにした。
それが、このところの出向くたびの名駅辺りの天を突くような、高層や捩り飴のようなデザインのビルの“おったっち”ぶりは、昔を知る自分にもジモティさいちゃんにも驚愕の毎日であるという。
そして、名古屋といえば、独特の食べ物。
八丁味噌大活躍の味噌カツ、味噌煮込みうどん、田楽。
世界の山ちゃんを筆頭とする手羽先揚げ。
三度美味しく食べるひつまぶし(うなぎ)。
あんこのスパゲティ。
えびふりゃ(タモリの話ほどにはあんまり見ないけど)。
ういろう(よく見る、定番お土産)など。
名古屋の食は面白い。
これらも元気の素なのだろうか。
“食”に既成概念があってはならないし、食のみならず、物事をコラボレーションする時に、自主規制や垣根を作ってはならないという事を、名古屋を食する時に感ぜずにはいられない。
大胆な食のコラボの在り方は、技術と技術をコラボしての新しい産業創造へ繋がるのではないかとすら感じる。
その名古屋で、久々に懐かしい食べ物を発見した。
というより、懇談会でしゃべりっぱなしで、ほとんど何も食べずに空いた小腹の夜を満たそうと寄ったコンビニに、それはずらりと並んでいた。
“おりゃー!お久しぶり。「頭脳パン」だ”
小倉・マーガリン・ジャムいろいろラインアップしていた。40年以上昔、このパンと出会った百石の商店では、干しぶどう入りの小型角食パン形だった。
やはり、名古屋だ。何んかグレートだ。マーベラスだ。あの“頭がよくなる”頭脳パンがまだ沢山あった。(“頭がよくなる”は現行法では表示できないだろうな。書いてなかった)
しかし、登録商標4161379号とあり、かつ袋に大きく
「頭脳パン」とは・・・
金沢製粉の「頭脳粉」を原料として作られたパンを頭脳パンと云います。
頭脳粉は、ビタミンB1が強化された小麦粉です。
と表示してあった。
久々の出会いに驚いた。つい買ってしまった。
んー、大名古屋発展の秘密は、頭脳パンを作り続け、食べ続けて来たところにもあるのだろうか。
しかして、今回「頭脳粉」という粉があるのだと、人生50年にして初めて知った。
大名古屋は、とにもかくにも奥が深い。
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