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VOL.88 [2008.7.28]
私を浅虫水族館に連れてって6
 イルカショーを大いに遊んだ我々は、暖かい海の生き物コーナーに立った。
 生きたサンゴの中をトロピカルフィッシュが泳いでいる。

Y “あ、おっさんじゃなかった、オジさんもいますよ。ニモだ、ニモ!”
M “カクレクマノミっていうんだよね。”

 説明するまでもなく、南の魚の熱帯魚は、超カラフル。動きも速い。しばし見とれる我々でありました。
 「サクラダイ」、オスからメスへ性転換するとのこと。
 「ウォーキングバトルフィッシュ」、歩く魚。
 「竜のおとしご」、オスが育児嚢(いくじのう)という袋で子育てをする。メスはオスの袋に産み付けるだけ。
 「マハタ」、一緒の「ホンソメワケベラ」が寄生虫や歯の間の食べ滓を取る。
 「サザナミフグ」平舘で2〜3年前に網に入った。本来暖かい海の魚。

Y “知ってました?西海岸はフグの名所で、超高級トラフグだって捕れるんですよ。それが九州に行って、高いフクになるそうですよ。”
M “ヒラメの薄造りの方が好きだな。”
Y “あと、西海岸のエゴノリは、博多の朝に欠かせない「おきうと」になるんですよ。西海岸の漁業なくして、博多の夜は明けないんですよ。”
“なんでそんなに詳しいの?”
Y “西海岸の地域資源を調査で勉強しました。”
M・オ  (同時に)“へえー”

 「ツバメうお」

Y “ロダンの考える人みたいですね。”

 同意。実にそっくり。
 続いて我々はちょっとだけ灯りを落としているコーナーへと進んだ。

Y “クラゲコーナーですね。A部さんに聞いたんですが、山形の庄内浜の加茂水族館という所は、お客様も入りが無くて、とても大変だったのに、クラゲをテーマに展示したら、いっぱい人が来て来てすごいそうですよ。”
“へぇー、なんでだろ?”
Y “この、ふわふわっと漂う自然な動きって、癒されるんですよ。クラッシック音楽をかけて、素敵な人と見惚れていたいですね。自分の部屋の水槽でクラゲを飼う女性は少なくないそうです。”
M “ありゃ、さっき食べたミズタコだ。”
“カワハギもいるじゃないか。食べたよな。とってもおいしくって、ごっつぉさまだったな。”

 仕事の整理のついたA部さんが現れた。

A “カワハギって、チュチュって鳴くんですよね。漁師たちは邪魔にするんですが、干してもおいしいですよ。”
Y “本人たちの前で、館長がそんな恐ろしいことを云うんですね。”
A “このクロソイも美味しそうに見えないけれど、ご存じのように旨いんですよね。”
M “実はこれもさっき食べました。”

 自分も多分M君も思いついたけど、口にしないでおこうと思った事をYさんがさらりと云った。

Y “あの、水族館と鶴亀屋さんってなんか仕入れ先が同じなんですか?”

 突然のかましにA部さんも大笑いした。

 そして、いよいよ我々は、当水族館の一大人気スポット、海獣コーナーへ到った。
 まずは、カリフォルニアアシカのエイブ君。水族館オープンの時から居て、子作り元気の子宝王として有名だ。1日に7キロのエサを食べる。
 いろんな芸を習得していて、昔仕込んだ技をさせると健康状態の調子がわかるとA部さんから聞いた。

A “もうひとつ、いい事を教えましょう。耳たぶがあるのがアシカで、耳に穴状なのがアザラシです。かつ、アシカは歩けますが、アザラシは歩けません。”
Y “わ、エイブが立った、立った。とんでもなくでかいですね。”

 エイブ君の決めワザのひとつは、直立して水槽にべったり立つことです。ガラス越しですが、子供たちがキャーッと一歩退くド迫力です。
 アザラシコーナーへ。本館の名物、TVでも有名な逆立ちし続けるアザラシ君がいます。お客様でいっぱいのスポットなのですが、でも今日はごはんタイムで逆立ちはなく、残念でした。

Y “逆立ちし続ける姿を見続けていると、ま、人生いろいろ、アザラシもいろいろ。何かゆるっとした気分になっていい、っていう友人がいます。”
M “ヨガの修業者を思い出すなぁ。”
Y “考える魚が居たり、ヨガ修業アザラシが居たり、癒しクラゲが居たり、イルカ大ジャンプのザッブーン、バシャってすっきりしたり、水族館はメンタルヘルスに最高ですね。
で、次は、私が大好きなペンギンです。ペンギンをペットに連れて散歩ひょこひょこしたいと子供の頃には思ってました。”

 まず、フォークランド生まれのイワトビペンギン。彫刻のように微動だにしない。
 Yさんがキッと怖い顔をして睨み付けた。迫力ある。なかなか怖い。しかし、イワトビ君、完全無視。
 その傍らでは、フンボルトペンギンが、水に飛び込んだり、歩いたり、よく遊んでいる。目まぐるしく動いていて、愛嬌いっぱいだ。
 M君と二人であっはっはっと笑っていると、

Y “私に眼(ガン)つけるイワトビペンギンが気に入りました。次回来たら、ここで眼飛ばしあって対決します。”

 まだ真剣にやり合っていたんだ!
三村 申吾

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