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VOL.107 [2009.7.7]
『たまりませんな』

 伊集院静センセと西原理恵子画伯の絵日誌の四作目が角川文庫になった。
 というより、本屋さんの書棚にあったのに気づいて、急いで買って一気に読んだ。
 双葉社での単行本が2005年だ。従って、ギャンブル日誌ともいうべき性格からしても、4年も経って、よくぞ角川書店は文庫化してくれた。
 四作のラインアップは『アホー鳥が行く』『それがどうした』『ぜんぜん大丈夫』と来て、今回の『たまりませんな』となった。
 そのどれもやっぱり面白い。今回もいい。物書きの面目躍如だ。こんなボヤキと博打日誌がエッセーかとのご意見もあろうが、このシリーズはすごくぶっ飛んでいていい。
 このシリーズが出版され続けている事自体、日本の出版文化の許容度の広さを示していると思う。版元も、編集者もとんでもない確信犯がいるものだ。
 この世の正義ヅラともご時勢とも、完全に遊離してる伊集院センセと西原画伯の感性には心底スカッとする。
 伊集院さんは『受け月』で直木賞、他に『乳房』で吉川英治文学新人賞、『機関車先生』で柴田錬三郎賞というほどしっかり書ける方だし、『海峡』三部作は、いい力量を出している。プロの小説家だ。
 しかして、この絵日誌に見る、日々の破天荒は、たまらない。これこそ物書きの魅力だ。
 西原画伯も、近日とっても感動的な少年の日のラブストーリー『いけちゃんとぼく』が映画化されて、世間的な好感度はアップしているけれど、その他の作品の破壊力にはひっくりかえる。
 もしもまた編集者になれたなら、しびれる魅力にあふれる、この二人を担当したいと志願する。
 まだこんな物書きが存在していられる日本は、(いい意味で)なかなか“たまりませんな”。

三村 申吾

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