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VOL.121 [2012.05.24]
ツマガリのシュー
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 年に何度か、特に薫風爽やかな今時分になると、『ツマガリのシュークリーム』が食べたくて食べたくて身悶え(と言うよりは、胃悶えか)する。 美味しい!なんてもんじゃない。これを食べなきゃ人生大損だ。
 5月の空から、頭の中に、あのプロ意識に徹したしかし誠実で優しいツマガリ社長の 「申吾さん、ほらでけましたで、皮パリパリにクリームぶわっと入りましたで」 の声が聞こえる。
 それなのに現物がない! 全くこれでは、シュー低血糖発作状態だ。

 もう20年近く前、心から敬愛する岡部伊都子先生に、「甲山(かぶとやま)の神呪寺(かんのうじ)の如意輪観音像は素晴らしい。日本三如意輪観音のひとつ。機会あったら訪ねてみなさい」と薦められ、仁川で大仕事の後、お寺さんまでタクシーで上がれると聞いて、思い切って参拝した。
 連れは友人のFだった。関西で初めての所に行くにはぴったりの相棒だ。
 なにしろ見た目があの『仁義無き闘い』の呉の広能に似ている。しかも広島生まれだ。
 しかし、日曜は座禅を二時間組む堅気ではある。
 神呪寺さんの事は本日省くが、またいつか訪れたい素晴らしさであることは保証したい。
 さて帰り道である。Fと自分は、天気晴朗、風は爽やかなれば、昔ながらの大師道をゆるり降りる事にした。 これまた風情にあふれ野仏に守られた、中々にナイスな(20年前の古い表現にしてみた)小径であった。 この道の事も省くが、阪急甲陽園の駅に向けて降りきった所で、まずドカンとツマガリ 洋菓子研究所に行き当たった。
 「販売は洋菓子店の方へ……」の案内紙を見た、物好きなFと自分は、小腹も減っていた訳だが、これぞお大師様の導きと洋菓子店を訪れ、社長と 云うかオヤジさんの感動のシューや、五月の感涙の焼き菓子に出会ったのであった。
 しかし、しかし、それからが凄い!
 それ以来ファンになって、西ではツマガリがNo.1だねと言っていたのだが、なんとなんと跡取りの息子さんに、我が百石のお菓子屋さんの娘さんが嫁いだのだ!
 それで社長にシュークリームを詰めて貰う、ますます濃い仲となった訳だ。
 オヤジさんには、青森の紅玉のパイなど作って販売して下さるなど、青森の応援団もして頂いている。
 甲山神呪寺さまのお導き、素晴らしいことよ。
 しかして、何としてもオヤジさんのシューが食べたい、五月の薫る風の切なさよ。
 今日は西の空、丸っこいオヤジさんの笑顔とシューを想い、涙そうそうである。

三村 申吾

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