♪ざわわ ざわわ ざわわ 広いさとうきび畑は ざわわ ざわわ ざわわ 風が通り抜けるだけ………
静寂な式典会場に夏川りみさんの歌声が響く中、献花が始まった。ここは摩文仁の丘、平和祈念公園。
6月23日は沖縄戦終結の日として、全島で国々の区別無く、全ての戦没者を追悼し平和を祈る。
献花の後に、首里高校金城美奈さんの『平和の詩』が本人よって朗読された。
誰の言葉よりも、参加者全ての胸を打つ、ひたむきで真っ直ぐな言葉だった。
一部を紹介したい。
「『 碑に思いを重ねて』
月桃の花が白くきらめく頃
私はあの手紙と出逢った
それは祖父の兄が家族に宛てた
一通の手紙
彼の人生で家族に送った
最後の手紙
第三中学校から届いたその手紙には
戦争のことは
何一つ書かれていなくて
勉学に励み
家族を思いやる
真っすぐな青年の心が記されていた
これから迫る
黒い影とは対照的に
その手紙は温かく
誠実さで溢れていて
白い光で包まれているようだった
この手紙と出会った後
私は初めて
彼の碑の前に立った
碑に刻まれた
その名前
ぎらぎらと太陽に照りつけられた
その名前
指でなぞると一文字一文字が
焼けるように熱くて
あなたの思いの熱さが伝わってくる
私の心に伝わってくる
碑に刻まれた
あなたの名前は
とても小さくて
とても窮屈そうで
この文字では表せないほどの人生が
あなたにはあった
この文字では抱えきれないほどの未来が
あなたには待っていた
でも何もかもを奪われてしまった
(以下略) 」
全戦没者のご冥福を衷心よりお祈りし、今日は筆を置く。
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