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VOL.132 [2012.09.11]
さらば、塩胡椒
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 玉子がちょい古になったので、景気よくダブルで目玉焼きにして食べた。
 この夏場、努力の甲斐あって、中性脂肪がばっちり落ちたから、2個食べても 許されるのだ。 わいはぁ、うれしいな!
 さて、玉子は物価の優等生と云われる。戦後、この玉子ほど良質たんぱくの供給源として頑張って、日本人を元気にしてくれた食べ物はない。 自分も朝から2個玉で、今日もファイトいっぱい頑張るぞ!!と気合いが入った。
 しかして、フライ返し無しで見事にターン出来る1個の時と違って、上手く ひっくり返せずに、片方の黄身がブシューっと広がってしまった。
 玉子1個だと、フライ返しを使わないで、低空でクルリと返す技を身につけているのだが、横着はよろしくないと云うことだろう。 ずっと、フライ返しやフライパンの蓋とかを使わないで、自分の好きな黄身 を半熟の状態にするため、腕を磨き続けて来た。 本当は洗い物を減らすためだ。 料理は好きだけど、洗い物とお片付けはなんか面倒で好きではない。
 夜ご飯もルンルンと気分転換しながら、楽しく自分で作るが、食べて飲んだら、満腹ごろり、お布団天国で牛になるのが、最高に幸せだと常々心から思って いる。
 さて百石の“ジャイゴ”の我が家の食文化には無い、このターンオーバーと云 う画期的な両面焼きを、花のお江戸のホテルの朝食の玉子コーナーで知った時の感動は、18歳まで田舎町育ちだからこそ、実に深いものだった。
しかし、もしかしたら、何しろ三沢直結で、アメリカの生活文化食文化直輸入の我が町だから、実はかなり早くから、ターンオーバーな家庭が存在していたかも知れない。 町内で余所の家に朝食に行くなんて事は、まず無かったからわからない。
 八戸の高校入ってからは、夜遅くなりバスが無くなって、お泊まりした、同級生の家の朝がイカ刺しや玉子は玉子でも、筋子やイクラやタラコの魚卵系だっ たのはともかく、朝からアワビでぶっ飛んで驚いた事がある。浜の方だからだろうか目玉焼きは、何故か出なかった。
 よって三年通学はしたものの、八戸もわからない。しかし皆さん、私はここで、30年近く前の家人との驚きの朝の食文化の激突を、問題提起したいと思います。どうでもいいようで、しかししかし、それまでの食文化を否定されるような事件が、夜明けの朝のコーヒーと共に起きたのでした。
 香ばしい匂い漂う中、目玉焼きが食卓に出されました。
 サニーサイドアップ、片面焼きです。全体がふっくらして綺麗に円で、目玉は 真ん中で薄く白く皮がかかって半熟屹立、実に素晴らしい目玉焼きでした。感動しつつも、何もかかって無さそうだったので、 「あれ?ソース下さい、とんかつソースでいいよ」 と語りかけた所、 「え、何に使うの」 「目玉焼きにかけて……」 「えー!(?_?)……ソース!! 塩胡椒してるよ。せいぜいお醤油でしょ! 何で、そんなの初めて!」 勿論、色んな調味料で目玉焼きは食されると思うのですが、とんかつソース がそんなに日本や世界標準ではないとは、知りませんでした。
 感激の焼き具合だった分、しょぼんとした気分で、寂しく塩胡椒でいただきました。ソースが否定されて悲しかった。  ふふふ、しかし独り暮らしの今は(今朝も)、だぶだぶにとんかつソースかけて食べています。 よもや統計なんか無いだろうけれど、家政学の研究に、「目玉焼きの考察―― 焼き方や調味料を巡って」とかないだろうか。 同士ソース派は、どの位いるのだろう。
  「塩胡椒よ、さらば!」
 ウスターでも、とんかつでもバーベキューでもいい、垣根を越えて、我れら少数ソース派は共に決起し、未来へ我らの食文化を残そうではないか!

三村 申吾

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