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VOL.169 [2014.1.5]
寝正月読書
 寝正月は読書に限ります。
 温湿布が気持ち良くて、時々ウトウトしながら先ずは
『黄金海流』(安部龍太郎著 講談社)
を読みました。
  江戸に海運流通革命をもたらす、伊豆大島の波浮港を築港しようとする勢力と阻止 しようとする勢力の幕閣内での権謀術数がドキドキです。
 勿論剣術あり、松平定信の凝った謀略あり、それに元火盗改め長谷川平蔵が対抗し たりと中々にスリルとサスペンスで読ませます。

 何よりも、現代の流通情勢を見る時、経済成長著しい東アジアと北米を結ぶコンテ ナ航路の三割が津軽海峡に集中し、さらには東アジアとヨーロッパを結ぶ北極海航路 が、津軽海峡を通って拓かれようとしている今、感じる所が多い小説です。
 自分は海洋国家日本再生のため、ものづくり国家日本再興のため、津軽海峡圏を、 アジア物流の拠点とせねばならないとアピールし続けています。
 東アジアの海上物流と我が国内の鉄道貨物物流に加えて、新幹線物流との結節点と なる可能性までが、津軽海峡圏には見えています。  

 ここで、マラッカ海峡のシンガポールを想像頂ければと存じます。
 シンガポールは東アジアとヨーロッパ、或いは東アジアと中東石油地帯とを結ぶ航 路上にある地勢上の利点を最大限に活かして海峡海港都市として、発展して来まし た。この発展パターンをモデルとして考えて頂ければと存じます。

 既に北極海航路も踏まえた国家戦略として、釜山港がウラジオストク港が大海洋物 流戦略をぶち上げています。
 韓国船は、昨年北極海航路を既に航海し、海のシルクロードを韓国が拓くと強烈に ぶち上げました。
 資源のない日本は、今一度、海洋国家として物流戦略を組み立て直し、物(資源) を集めないことには、ものづくり産業もさらに危ういのではないでしょうか?偉い人 たちに、もう一度アジアを見つめ直して頂ければ、ありがたいです。

 ありゃりゃ!読書レポートなのに、つい長くなりました。

 『エルニーニョ』(中島京子著 講談社)は、さすが中島京子です。
 綺麗な清しい小説でした。明日に向かって生きたいなと上手く感じさせてくれる小 説です。  
 具体には『♪森のくまさん』の歌をモチーフに、DV男から逃げ出した主人公の旅 と運命的出会いそして新生を、巧みに情感を抑えて書き上げています。

 『FUTON』と云い『イトウの恋』、『平成大家族』そして今、話題沸騰の『小さ いおうち』と云い、人の生きることの幸せを描かせたら、この人が現在No.1じゃな いでしょうか。
 そういう小説が、自分は好きです。
 中島京子さんは、いずれは平成の小説の神様と呼ばれると、自分は思っています。

 さあ、お布団の日も、今夜まで。明日朝には起きて、仕事に全力
  GOGO SHINGO!
です。
三村 申吾

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