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VOL.202 [2014.10.1]
9月の文庫は集英社
 新潮文庫が100周年を迎えたと云う。
 記念に往時の装丁、造本で復刻版が出されると云う。
 めでたい事でもあるが、文庫と云う本当に手軽で買いやすい出版形式が果たしてきた、文芸振興に置ける役割は素晴らしいと思う。
 新潮社を興した角館出身の佐藤義亮と云う人の、慧眼或いはチャレンジ精神には感服するばかりだ。

 さて、今月も沢山の会社から沢山の文庫本が出版されている。
 玉石混交とは云われるものの、紙媒体を使った活字文化が踏ん張ってくれているだけで自分としては、本当にありがたいと思う。
 後は各社が玉や石の重さに耐えられず、沈没しない事を願うのみだ。売れればいいと云うだけの石はちょっと恥ずかしいが、売れない玉ではもっと始末におえない。
 頑張れ、編集者。良心を失わずに、しかも、しっかりと売れ!

 今月も書店で、いろんな文庫本を手に取り、そのまま棚に戻したり、買ったりした。
 調べてみたら、今月9月は新旧刊12冊購入したが、内訳を見ると何故だか集英社文庫が多数となった。新刊4冊と8月25日刊行だから9月新刊のような1冊の計5冊である。
 本家新潮文庫は、直木賞の方などの旧刊3冊。9月新刊は購入無しだった。

 集英社文庫部長さんが、どなたかは存じ上げませんが、御社のラインアップには感激です。
 それぞれ、うるうる、ポロリ、じんわり、いいなあ、すごいなの5冊でした。

 『楽園のカンヴァス』など今一番輝いてる原田マハさんの『旅屋おかえり』(絶対泣いちゃいます)

将棋世界を知る者を余りにも熱くした期待の新人橋本長道さんの『サラの柔らかな香車』

ワタシャ『イトウの恋』に感激しました。名手ですよ。そしたらやっぱし『小さいおうち』で直木賞とった中島京子さんの『東京観光』(とにかく上手い!のひと言です)

時代を煽りまくった恋愛小説や『鈍感力』『欲情の作法』のぶっちぎり教訓!?本も流行ったけど、山本周五郎路線も書いて欲しかった読んで見たかった渡辺淳一ドクターの、未刊だったユーモラス医療小説『仁術先生』。(渡辺ドクターの患者になってみたかったなあ、という感じ)

社の枠を取っ払い、セールス用の帯に堂々と「講談社ノンフィクション賞」受賞作と実にでかく謳っている、1845年北極海西航路発見に向かい129名が全滅したイギリス探検隊の跡を尋ねた角幡唯介さんの『アグルーカの行方』です。

 いよいよ読書の秋深し。ラインアップもですが、各社の販売戦略が楽しみですね。
 出版文化・活字文化を守るためには、全体売り上げがしっかりしてこそ継続的出版と作家育成が可能なわけで、各社とも玉石にそれぞれお考えはあるでしょうが、そこはバランスよく頑張って下さい(^∀^)ノ
 各社のためにも、文庫はどんどん買って応援します。但し単行本は選び抜いて買います。
三村 申吾

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