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VOL.211 [2014.12.17]
うしろすがたの…
「うしろすがたのしぐれていくや」
これは、種田山頭火の数々の名句の中でも、優れて人に様々な想いを促す傑作と思う。
雪の降り始めの時期になると、必ず思い出す一句でもある。

山頭火は、大胆かつ奇矯な俳人である。
575の定形も、あらゆる立場も捨てて、好き気ままに句作するさすらい旅に出た。
つぶやきツイッターの超先駆け、と云ったら、説明を略し過ぎたかな!?
同じく、世を捨てた歌人として西行がいる。その出奔たるや、妻子を蹴り飛ばしてと、ど派手な話が伝わってはいるが、その後の西行の世過ぎをみれば、捨て方の度合いは山頭火の方が、生真面目に思える。
ただ、西行は論も無用の、この国の代表中の代表たる大歌人だから、こんな事を言ったら、恩師である和歌文学界の第一人者、久保田淳先生に、「卒論取り消し」と叱られそうだ。

でも「山椒は小粒でもピリっと辛い」の例えのように、山頭火の句には、鮮やかさに、心底痺れるものや、そうだよな全くと唸りたくなるものが、数多くある。

今日は自分が好きな旅人山頭火の雪の句いくつかを並べて見たい。

「しぐるるやしなないでいる」

「こしかたゆくすえ雪あかりする」

「わかれてからまいにち雪ふる」

日本の文化文芸の奥深さを、改めて雪を見ながら思っている。
三村 申吾

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