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VOL.226 [2015.3.31]
休みの午後、慢慢走(マンマン・ゾウ)
 中島京子さんが、ますます好きになった。
『FUTON』『イトウの恋』『平成大家族』と上梓する度に、読ませる実にいい作品を書くなあと感心している旨を書かせて頂いた事があるけれど、映画にもなった、素敵で切ない昭和の初め頃の東京山の手の家族と恋と戦禍の話『小さいおうち』で、しっかり直木賞を取ってくれた。

今回の作品『のろのろ歩け』では、台湾・北京・上海を舞台に、急がないで生きていいんだよ、いっぱい時間はあるんだからと、主人公をほんわりと包み込む物語の運び方の上手さに唸っただけでなく「ああ、読んで良かった。小説って本当にいいもんだな。本を読むって、楽しい事だなあ」と、明るい気持ちになった。かつてその世界に身を置いて来たけれど、読書がうれしくなる本ってのは、めったには無いものだ。

本のタイトルとなった“のろのろ歩け”は、北京の屋台で茶湯(チャータン)を食べた主人公に、屋台のオヤジさんが言った「慢慢走」(直訳すれば“のろのろ歩け”意味合いとしては“のんびり行けや”)から来ている。※尚、主人公に対する現地案内人の説明では意訳すれば“さよなら”だけれど、英語でならgood byeと言うよりtake careだそうだ―

ドキドキわくわく、或いはスリルとサスペンス満点の読書もいいが、こんなにも気分いい本を読めて、今日はすごく佳い日になった。

青森県を訪れてくださる観光客の皆さんにも「慢慢走」の言葉を送って、ゆっくりのんびり過ごして頂きたいものと願っている。


 慢慢走!多謝!
三村 申吾

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