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VOL.271 [2017.7.2]
妻が椎茸だったころ

肉じゃが追伸。
まめな事に、すき焼きのたれが150ml位残っていたので、これを全部使うとして鍋に600mlの水を張り、昆布を放り込んでおいた。
この昆布だし水に、ちょいと料理用酒まで加えて肉じゃがを作った。
旨い。豆腐、玉子の関係で液が過剰気味で、結果、煮込み豆腐風、じゃが芋、人参、椎茸、ピーマン(冷蔵庫で発見して、つい入れてしまった)玉子ごった煮になった。

しかし、美味しい。
暑いし、お休みだしぷはーと、昼ビールまで頂いてしまった。
お昼寝モードで、大好きな中島京子さんの短編集『妻が椎茸だったころ』を読み出したら、いいね、いいねとかえって目が覚めてしまった。
短編集の3作目、タイトルにもなった「妻が椎茸だったころ」には、近年のどの作品よりも深く感激した。泣けた。

急死した妻の代わりに、一度しか予約出来ない著名な先生の料理教室に行く事となった夫が、妻の残した日記風レシピ集を発見する。
それには例えば
「椎茸が二つ並んでいる姿はとてもかわいい。もし、私が過去にタイムスリップして、どこかの時代にいけるなら、私は私が椎茸だったころに戻りたいと思う」
などと云う記述あった。

ちょうど自分も、とてつもなく旨く煮えた椎茸を食べたばかりだったのだけど、家人にも、この椎茸他を食べさせたくなった。
人に心に愛おしさをかき立てる、中島京子さんの上手さにノックアウトされる事、うけあいます。
本当に、いつもいい小説を書くなあ。泉鏡花賞受賞作が納得だ。
ご興味ある方は講談社文庫だから、是非読んで下さり、ファンになって頂けたらありがたい。

でもやっぱり途中でころりんと寝てしまって、食も読書もお昼寝も良くって、いい休暇になった。




三村 申吾

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