海外のことに、触れないわけにはいかないだろう。
ひとことで言うなら、苦悩している。あたま抱えて、うなっている。
まずは何よりも「りんご」と言うことになるだろう。
春先に、安全安心あたりまえ、世界最高品質で美味しいりんごを持って12月には、会いにゆくから、今年もよろしくね、と一筆入れた訳だが、今、「行けなくなった。ごめんなさい」してる事は前述した。
主力の台湾とは、キャンペーン動画やwebでテレビに出たり、生放送に電話で出たりとか、主要取り引き業者方とこれもwebで販促会議したりとか、色々やっている。
しかし、いつもの現地テレビでの出演の多大な総量に比べて、落ちている。かつ、南半球産の売れ残りの関係で、近年先頭を走ってふじ、王林に繋いで来た、「とき」のダッシュがにぶいと、web会議でおどされて、少ししょげている。
お互いの信頼関係があるから、タメ口(本音???)も少しは許されるので、「品質抜群の本当に旨いふじが、リーズナブルな単価で行くから、ときの扱いを挽回して儲ける算段して下さいよ」と、言い返した。しかし、実際に、台北、台中、台南、高雄など地道に回る営業が無いことには、7月の適正着果運動の際に農家の皆様との約束(「今年も国内外で、しっかり売ります」)を果たせず、忸怩たる思いがある。
まして、国交が無いからこそ、県という公的な立場のトップとして、輸入許可や規制の各当局を回って、直接ネゴシエーションするのは、我々の大切な仕事である訳だが、今年はお手紙だけになっているのは、気になっている。人間の移動の検疫が簡易になったら、素早く行動しなければならないと決意している。
今後、台湾のテレビ局からお声をかけて頂いているチャンスを、最大限活かしたい。
さてしかして、我々輸出部隊にはコロナの影響直撃のとても厳しい事が起きつつある。船主体のりんご等の輸出は問題ないが、エアカーゴによる航空輸出が、やられた。
「沖縄ハブ」。蛇のはぶではない。自転車のスポークの様に、那覇空港を拠点にアジア各地に伸びる航空物流路線だ。輸出の段取りを24時間体制でここでまとめてやるから、例えばむつ湾で朝獲った帆立を那覇空港の沖縄ハブに持っていけば、次の日午前には、香港に届く。
つまり、生きてる魚介類や完熟イチゴ等が、次の日に香港等へ届くメリットは、日本のはじっこの我々青森には、とてつもなく大きい。800キロの海岸線の魚介類の付加価値が、大変に高まる。
万国津梁の邦、琉球にこのシステムを具体化した方々を心から尊敬したい。
青森県土木部が発案した、国内なら次の日午前、香港等近いアジアには次の日に県産品が届くAプレミアム輸送システムは、この沖縄ハブを最大限活用することで、魚介類を中心とした輸出実績を着実に伸ばして来た。
この、青森とアジアを結ぶ輸出航空物流拠点が、エアカーゴ共々に失われる事態になっている。
しみじみ、物流に置ける空の路、空のシルクロードの大切さを改めて実感すると共に、こんな時には守ってくれない日本国の輸出施策に、さすがに疑問を持っている。
自分としても、チームとしても、限界まで頑張っているのに、ある大臣とか、局長とかに、青森はもっと輸出頑張れるはずだ、努力が足りないと相当に気合いかけられたりしたことがあったが、運ぶ手段を育み守るのは、国レベルの仕事と思う。うちと沖縄県商工部は、かなりやって来た。悔しい。
ちなみに、課題であった冬場の観光に寄与しつつあった、600%つまり6倍に伸ばしたインバウンドは、まさに一気に失われた。しかし、チームと共に、地道に積み上げて来た各国の相手方それぞれとの人的な濃い関係があるから、また、これは丁寧に戦略的にやり直して取り戻してゆこうと思っている。すでに、やり取りも、引き合いすらもある。相手方も真剣だし必死だ。
そうした所、いわば航空母艦(沖縄ハブ)も飛行機(エアカーゴ)も失って、Aプレミアム輸出戦略をどう戦うのか。すっかりしょげていた自分を、チームメイト、職員たちが励まして言うには・・・
♪香港が、だめなーら、名古屋があるさ
那覇が、だめでーも、羽田があるさ
とばかりに、大阪の部隊がしゃにむに営業かけて、名古屋方面でかなりのシェアを拡大してくれた。「絶対Aプレミアムは頑張れます。沖縄から羽田拠点に移してやれないかも、関係者で検討に入ります!・・・」
自分は、チームみんなのファイトに、感謝するだけでなく、泣けた。みんなで一生懸命、いつでも本気で働いて来て良かったと心から思っている。
--(4)へ続く。
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